音楽の力を考える
毎朝の「今月の歌」に加え、日によっては午後活動として、またティータイム後のひとときに楽器演奏やカラオケで音楽を楽しんでいただいています。季節にふさわしい選曲がされ、8月は「ひまわり娘(伊藤咲子)」「夏休み(吉田拓郎)」と昭和歌謡からフォーク、平成のポップスなどさまざまです。演歌を皆で合唱することもあります。
若かりし頃、つま弾いていたギターを再び弾き始めた方、絶対音感でキーボードを自由自在に操る方、「やったことないけど…」と口にしながらリズムよくドラムを叩く方…。
マイクを使ったり楽器が入ると音にも厚みが出て、ちょっとグレードアップしてなかなかいい感じです。
月初めはもにょもによしていた歌声も月が終わる頃にはけっこうしっかり歌えるようになっているものです。
最近では来たる8月10日に行われる「GrASP 9周年パーティ」に向け、練習にも熱が入っているところです。ご自宅で練習を重ねて意欲をみせてくださるメンバーさんの真剣な表情、素敵です。
一方で「やりたいけど自信がない」「昔はできたはずなのに、情けない」と消極的になってしまったりネガティブな思いにとらわれてしまう場合もあります。これは認知症に限ったことではないのですが、感情のコントロールが不得手になるという病気の特性からひとつのつまずきが意欲の低下や被害妄想などの心理症状が引き起こされやすくなるのです。
「音楽は、精神の中から日常生活の塵埃を掃除する」と言ったのはかの有名な作曲家バッハです。確かに音楽に癒されたり元気をもらったり、涙が流れるほどの感情の揺さぶりを起こされたりした経験はありますよね。また歌を聴いて忘れていた思い出がよみがえることもありますね(先日お伝えした『レコード・デイ』でも証明済)。もちろん悲しい思い出の場合もあるでしょうが。
「音楽療法」があるくらいですし、音楽の力って本当に大きいとライヴ好きの私も実感しています。
メンバーさんにはここでの音楽をその瞬間だけでも心から楽しんでいただきたいと思っています。細かい記憶はなくてもその歌を聴いた時になんだか心がぽっと温かくなるようなものであってほしいと願います。
GrASPの主役であるメンバーさんにはできること、やりたいことで思いきり躍動していただきたいという考えのもと、我々チャレンジャー(スタッフ)はどうしたら楽しんでいただけるか、どうしたらお力を存分に発揮していただけるか日々懸命に試行錯誤を繰り返しながら場づくり(環境整備)を頑張っています。その一つが音楽です。
歌を通して、音楽を通してみんながHAPPYになれる、ひとりひとりが輝ける、そんな場所でありたいと思います。