“今日”という表情を見つめて動くしごと
こんにちは。GRASPスタッフのアリーです。新人として奮闘しながら、こうしてブログにも時々お邪魔しています。
「表情がふわっとしているね。今日はきっと穏やかな日だ」
「…ん?ちょっとピリッとしてるかな。どうしたんだろう?」
ある日、メンバーさんの対応について先輩方が交わしていた、何気ない会話。
でも私は、それを聞いてびっくりしてしまいました。
言葉での意思疎通が難しいメンバーさんに、私は「いつも通り」のサポートをしていました。 でも先輩方はちょっとした変化を見つけて、「今日は元気そう」「もしかしてお腹が痛いのかも」など、ご本人の気分や体調を“表情やしぐさだけで”読み取って、接し方を自然に変えていたのです。
たとえば――
昼食中スプーンが止まったとき、先輩はそっと近づき、メンバーさんの目線を追います。 「大丈夫?ふりかけ、かけてみましょうか?」その声は親が子を気づかうときの、それと同じあたたかさでした。
立ち上がろうとしてふらついたとき、すぐに体を支えながらも、「○○さん、今日は少し足が重いかな」と軽やかに声をかけ、周りのスタッフにも伝達。安全と尊厳のどちらも守る動きは、まるで長年連れ添った家族のチームプレーのよう。
私は思いました。介護の現場には、“できないことを手伝う”以上の愛情が息づいている、と。
言葉より早くメンバーさんの「今日」を受けとめ、事故やトラブルを防ぐ手立てを瞬時に考え、そして何より「あなたが大切」という思いを動作や眼差しで惜しみなく伝えている――そんな仕事なのだと。
そして、自分が日頃いかに「言葉」に頼っていたかにも気付かされました。
相手の表情やしぐさ、声のトーンや目線。そういった“非言語”の部分を、見ているつもりで、ちゃんとは見ていなかったのかもしれません。
介護の仕事って、「できないことを助ける」だけじゃない。むしろ、日々変わる“その人の今”を感じ取りながら、その日の最適なサポートを探していく仕事なんだな、とあらためて思いました。
実はまだ、顔とお名前を一致させるだけで必死なときもあります。「この方にはこういうサポートを」とようやく思っても、次にお会いするとまた様子が違って、考え直し…の繰り返しです。
でもその都度、「どうしたら心地よく過ごせるかな?」と考えるのは、とても難しいけれど、どこか楽しくて。最近では、介護の仕事って実はとても“クリエイティブ”なんじゃないかと思うようになりました。
少しずつ、でも着実に。私も先輩方のように、ことばを超えて“その人らしさ”を感じ取れるようになっていけたらと思っています。