アートは続くよ、どこまでも
前回のブログでご紹介した「やさしい街あざみ野実行委員会」の認知症イベント、午後の部では『やさしい美術鑑賞』のプログラムがあり、メンバーさん11名と参加してまいりました。

8月に行われたアート体験とほぼ同じ形式、同じ学芸員さんによる鑑賞会だったため、覚えていたメンバーさんもいましたが、場所が違うこともあり、「何が始まるの?」とやや緊張の面持ちのメンバーさんも。
地域からの参加者の方と一緒にグループになってひとつの絵画を囲んでフリーに話してもらうと、その言葉を学芸員さんが上手に受け止め、深めてくださいました。


その感じ方に障害や病気は関係なくそれぞれで正解はないということ、例えば向かい合う一組の男女を「仲良くおやつを楽しんでいる」と観る方もいれば「いやいや、口喧嘩をしているのではないか」「奥さんの方がすごく不機嫌そう。話をしたくないんじゃないか」…。それを受けて「俺んちは違うよぉ」の反応に爆笑が起こります。また背景に関心を寄せてこの絵の季節はいつかと考える方、描かれている動物に注目して描き手を凝視しているのではないかというところに気づく方、他の意見にも耳を傾けて「なるほど」「へえ」と頷いたり。同行スタッフもメンバーさんの鋭い視点に驚きや発見がありました。皆さんの想像は果てしなく自由に広がり、展開されるトークもとても楽しいものでした。
もともと美術館にはよく出掛けていたというメンバーさんが生き生きとされ饒舌だったことが印象的でした。
認知症の診断を受けてから、社会に出ていくことや趣味に親しむ時間が減ってしまうという声を聞きますが、人として当たり前のこととして楽しみたいですよね。そのために何が必要なのか…。
弊社スタッフがお子さん連れで来てくれました。どこに行くにも周囲に迷惑をかけないようにと気を遣ってしまうけどとても安心でき、子どももアートを楽しんでいたという感想を聞かせてくれました。

お互い様精神で温かくウエルカム、みんながありのままでいられる空間を地域の方と楽しめたことが何よりでした。
アートフォーラムの方から、お茶でも飲みながらもっとゆったり感想を話したかったという言葉をいただきました。本当に思わぬ視点にびっくり、楽しませていただきました。
「誰にでもやさしい鑑賞会」、今後もありそうです‼