東海大学 健康学部 健康マネジメント学科の皆さまへおはなし
tsumugi
GrASP株式会社
こんにちは。GrASPスタッフのアリーです。
ある日の昼食時のことです。
いつもはゆっくりながらも食事が進むメンバーさんが、その日は少し戸惑った表情をしてスプーンを持っていました。
そこで、スタッフがテーブルの高さを少しだけ上げてみると――
不思議なことに、その方の手が自然と動き出し、みるみるうちに食事が進んでいきました。

「声をかけても変わらなかったのに、テーブルの高さを変えただけでこんなに…?」
そのとき、環境の力の大きさを改めて感じました。
GrASPで働いていると、“できない”ことが“できる”ことに変わる瞬間は、気合いや根性ではなく、ほんの少しの“環境調整”で生まれることが多いと気づきます。
例えば――
こうした“環境が変わるだけで行動が変わる”現象は、実は認知症ケアの研究分野でも数多く指摘されているそうです。人の認知や注意の向き方は「言葉」よりも「視覚・距離感・周囲の刺激」に左右されることがあり、環境調整は“支援”というよりも、その人の力を引き出すための土台づくりなのだそうです。
私はまだ経験が浅いので、「どうしたら伝わるんだろう?」「どうしたらスムーズにできるかな?」と日々試行錯誤の連続です。
でも、先輩がたが様々な工夫をさりげなく実践している姿を見るたび、ケアの奥深さにハッとさせられます。
“できないことをサポートする”のではなく、“その人ができる環境を整える”。
その視点に立つと、ケアはぐっと柔らかく、そしてとてもクリエイティブな営みに見えてきます。
これからも、メンバーさん一人ひとりの「自分でできた」を見つけられるように、日々の環境を丁寧に観察しながら、小さな工夫を積み重ねていきたいと思います。