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GRASPism⓲ 若年性認知症の『中核症状3rd』とは

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弊社のサービスのケア・支援についてお伝えしたいと思います。
パート☝☝☝☝☝、☝☝☝☝☝、☝☝☝☝☝、☝☝☝です!

こちら☝の数が増えるだけ、GRASPismを発信したというシンボルにしたいと思いますので、お付き合いの程お願いいたします(笑)

前回に引き続き、若年性認知症の症状シリーズについてお伝えします。
今回は『中核症状3rd』です。

前回のおさらいです。中核症状は

➀記憶障害
➁見当識障害
➂実行機能障害
➃理解力・判断力の障害
➄失語
➅失行
➆失認

一般的にはこの7つに分類されます。

それでは、今回は➄失語、➅失行、➆失認についてフォーカスしてみたいと思います。

➄失語:脳の変性もしくは損傷により言語機能が障害される状態を指します。失語は、言葉を話す、理解する、読む、書くといった言語に関する能力が部分的または完全に失われる状態で、通常は脳の左半球にある言語中枢(ブローカ野やウェルニッケ野)の損傷によって引き起こされます。

1. 言葉を使った表現の困難

◦ 意味: 自分の考えや感情を言葉で表現することが難しくなる状態。思った通りに話したり書いたりすることが不得手になる。

◦ 例: 友人と話そうとしても、言いたい言葉が出てこず、簡単な単語でしか会話ができない。また、メモを書こうとしても、正しい言葉が思い浮かばず、伝えたい内容を紙に書けない。

2. 言語理解の障害

◦ 意味: 他人が話す言葉や指示の意味を理解することが難しくなる状態。会話や指示に適切に応じることが不得手になる。

◦ 例: 誰かが話しかけても、言葉の意味が理解できず、何を言われているのか分からない。たとえば、「テーブルの上にある本を取って」と言われても、その指示が理解できず、どうすればいいのか分からない。

3. 言葉の記憶と呼び起こしの障害

◦ 意味: 記憶から正しい言葉を思い出すことが不得手になる状態。特定の言葉や名前が出てこなくなる。

◦ 例: 長年の友人の名前を思い出そうとしても、名前が出てこず、その人を「彼」や「あの人」としか呼べない。質問に答えようとしても、適切な言葉が浮かばず、答えられない。

4. 言葉の選択や訂正の難しさ 

◦ 意味: 間違った言葉を正しく訂正したり、適切な言葉を選ぶことが不得手になる状態。

◦ 例: 「リンゴ」と言いたかったのに「バナナ」と言ってしまい、間違いに気づいても訂正できず、正しい言葉が出てこない。会議で話された内容を要約しようとするが、言葉がうまく出ず、要点を伝えられない。

5. 言語的な連続性の喪失

◦意味: 言葉や文章を順序立てて理解したり、話したりすることが難しくなる状態。論理的に一貫した話をするのが不得手になる。

◦例: 自分の体験を話そうとするが、言葉がうまくつながらず、話があちこちに飛んでしまい、相手に内容が伝わらない。また、新聞記事を読もうとしても、文章を順序立てて理解するのが難しく、内容が把握できない。

➅失行:運動機能や筋肉そのものには問題がないにもかかわらず、意図した動作や動きを正確に行うことができない状態を指します。失行は、脳が正しい運動指令を出すことができなくなることで起こり、特定の動作を実行する能力が低下します。

  1. 道具の使用に関する障害:
    • 意味: 特定の道具や物を正しく使うための手順を理解し、適切に実行する能力が発揮されにくくなる。
    • : スプーンを使って食事をする際に正しい使い方ができず、食べ物をうまく口に運べない。
  2. 日常的な動作の順序づけの障害:
    • 意味: 日常生活で必要な動作を適切な順序で実行する能力が発揮されにくくなる。
    • : 着替える際に服の前後を間違えたり、不適切な順序で衣服を着たりする。
  3. 身体的な動作の調整失調:
    • 意味: 複数の動作を調和させて一連の行動を完成させる能力が低下する。
    • : 椅子から立ち上がる際に手と足の動作をうまく調整できず、バランスを崩してしまう。
  4. 空間認識と物体認識の障害:
    • 意味: 物体の形状や位置を理解し、それに基づいた適切な行動をとる能力が発揮されにくくなる。
    • : 鍵を鍵穴に差し込む動作を正確に行うことができず、鍵穴の位置が認識できない。
  5. 手順記憶の喪失:
    • 意味: 複雑な手順を記憶し、それを適切に実行する能力が低下する。
    • : コーヒーを淹れる一連の手順を忘れ、誤った順番で作業を進めることがある。

➆失認:感覚機能(視覚、聴覚、触覚など)が正常であるにもかかわらず、物や人、音などを認識できない状態を指します。これは、脳が受け取った情報を処理し、意味のあるものとして認識する機能に障害が生じた結果です。

  1. 視覚情報の誤解釈:
    • 意味: 視覚的な情報を正しく解釈できないため、物体や人の顔、文字などを認識する際に困難が生じる。
    • : 視覚失認や相貌失認に見られる、知人の顔を見てもその人が誰であるかを認識できない。
  2. 聴覚情報の認識障害:
    • 意味: 聞こえる音に対して、その音が何であるかを識別する能力が不得手になる。
    • : 音声失認により、電話のベルが鳴っても、それが何の音かを認識できない。
  3. 触覚情報の認識障害:
    • 意味: 物を触っても、その物が何であるかを認識することが不得手になる。
    • : 触覚失認により、ポケットの中に手を入れて鍵を触っても、それが鍵であることを理解できない。
  4. 空間的位置の認識困難:
    • 意味: 馴染みのある場所でも、その場所がどこであるかを正しく認識しにくくなる。
    • : 場所失認により、毎日通る道を歩いていても、自分が今どこにいるのかがわからなくなる。
  5. 文字と単語の認識障害:
    • 意味: 文字や単語を読むことができても、それが何を意味するのかを理解が不得手になる。
    • : 文字失認や単語失認により、看板やメニューに書かれた文字は読めるが、その意味がわからず、何を指しているのか認識できない。

失語、失行、失認はそれぞれ異なる脳機能の障害ですが、これらは高次脳機能障害の一環として相互に関連していることがあります。それぞれの障害は特定の脳領域の変性や損傷に基づいていますが、脳は非常に複雑に統合されたネットワークであるため、一つの領域の障害が他の領域に影響を与えることがあります。

だからこそ、失語、失行、失認の症状が絡み合って複合的に症状として表れるため、ケアを難しくさせていると言えるでしょう。

正しい理解のためには、特定の脳領域のどこが変性もしくは損傷してしまっているのか。

・失語なら、言語を生成するブローカ野や言語理解を司るウェルニッケ野など、主に脳の左半球に位置する言語中枢が関与している部位の変性や損傷によって生じます。これらは大脳の前頭葉と側頭葉に位置します。

・失行は、大脳の前頭葉や頭頂葉に変性や損傷がある場合に見られます。

・失認は、特に大脳の後頭葉や側頭葉が変性や損傷を受けた場合に起こります。

これらを理解して、変性や損傷した脳領域を補う感覚が必要となります。

このような症状を有した中で、若年性認知症の人は生活をしています。

思いを言語化することに対してスムーズさが欠けたり、理解が追い付かずに目的の行為に繋がらなかったり。

生活行為を行なおうとしても、意図した行動を起こすまでに時間をようしたり、修正が必要だったり。

視覚、聴覚、触覚などは正常に能力を発揮ができていても、認識することが不得手になり異なる世界観を感じていたり。

戸惑いが増えていき、生活することが不得手になる。

今まで体感し対処してきた世界とは大きく異なる日常を送られています。

だからこそ私たち支援者・仲間の支え合いが力になります。思いを語る。何かしらの生活行為を行う、五感を通して認識する。若年性認知症の人の思いは何かしらの形でパズルのピースのように表現されています。連続性のある表現方法ではないかもしれません。しかし、パズルのピースを拾い集めることで、その方が今何を希望し実践しようとしているのか。ご本人以上に理解しようとする支援者の姿勢によって、今を適応できるようになると確信しています。

次回は、BPSD編に突入します。

お楽しみに!!

『失語、失行、失認』について、このような定義が最新ですよ、こんな状況もありますよね、等の情報がありましたら教えてもらえると嬉しいです。

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